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紋の会 令和2年10月18日 開催

2020年10月18日、国立小劇場において「紋の会」を開催いたしました。
 
コロナ禍の中、春頃よりこの会の開催について、再三検討して参りましたが、私の芸道精進のため、席数などの規模を縮小した形をとり開催することに致しました。
 今回一つ目に荻江「鐘の岬」を踊らせて頂きました。この作品の振付は、父紋寿郎が祖父桐竹紋十郎(文楽人形遣い)と、荻江節を人形に舞踊を踊らせるという新たな試みの中で、アイデアを出し合い作られた思い出深い作品です。昨年、洋楽と邦楽のコラボレーションによる「櫻子~切支丹の鐘~」を創作上演致しましたが、今年は同じ道成寺物ながら、原点に立ち返る思いで、古典舞踊として荻江節の「鐘の岬」に挑戦致しました。
 二つ目は、奏風楽「千代女四季」です。五・七・五という限られた文字の中で、風物や心情などを読み込む日本特有の文化である俳句をテーマに、加賀の千代の句を奏風楽にて、千代女の俳人としての歩みと共に舞踊化致しました。千代の句に秘められた心情を、どれだけ舞踊で表現できるかが目標です。また、現代忘れかけられている、田植え唄や蛍、車井戸、針仕事などの日本の風景を、舞踊を通して皆様の御心に留め置かせて頂けたなら幸いです。

荻江 鐘の岬

立方 藤間 紋

振付 藤間 紋寿郎

演奏
唄   荻江 露舟
    荻江 寿昇

三味線 荻江 露朝
    荻江 露半

筝   中川 敏裕
 

【解説】

長唄「娘道成寺」を地歌として作曲し、さらに短縮した「鐘が岬」があり、これを荻江露友が改曲したとされる作品です。鐘に恨みを込めてつれない男への想いを舞います。前半は地唄舞風に始まり、艶やかなクドキとなり、華やかな桜の中での毬唄、また廓の中の風情を織り込みながら、能ガカリな恨みに終わります。父藤間紋寿郎の振付で、祖父である文楽人形遣いの桐竹紋十郎が、人形を用いてこの「鐘の岬」を舞いました。その折、石を投げて桜を散らすなど、紋十郎のアイデアで、人形ならではの形を振りに取り入れて振付が完成しました。


 

 

 

 

奏風楽 千代女四季  
加賀の千代句集より

立方 藤間 紋

駒井 義之 構成・演出
松原 奏風 選句・作曲
藤間 紋  振付
原  昌男 照明

演奏
唄   杵屋 秀子
    今藤 政子
    中川 綾

三味線 長谷川 春風
    真田 ゆみ風
(低音)荒井 和風

筝   中川 敏裕
 
囃子  藤舎 呂雪
    藤舎 清之
 
笛   中川 善雄
 

【解説】

この曲は清元梅吉(松原奏風)が加賀の千代の句集から選句した演奏曲で、「加賀の千代=春の花・秋の月・夏の森・冬の雪」として平成元年金沢にて初演されました。その後、夏と冬の二章だけを選んで、駒井義之が構成・演出し、藤間紋が振付して舞踊化し、平成十六年自身のリサイタル「紋の会」にて発表。今回は新たに工夫を加え上演いたしました。

 

 〈夏の森〉

“朝顔やつるべとられてもらい水”の句で有名な加賀の千代は、天分の才あって幼少より俳諧の道に名を成し、女一人俳諧行脚に旅立ちます。行く先々で出会う日本の風物(竹林・田植え唄・川に蛍)などの句を詠みます。句の中に詠みこまれる風情を舞踊で表現します。

 

〈冬の雪〉

千代女は嫁いで子をなしますが、二十代で未亡人となり、父母や子も世を去り一時俳句作りを断念します。後に家業を継ぐ者を得て、再び俳諧の道によみがえります。清楚に生きた千代女は、おのが道は俳諧のみと悟ります。後半も日本の風物(雪の朝・車井戸・茶の湯・針仕事)などの句を織り込みながら、千代女の人生の苦悩と心情を表現します。

ー夏の森ー

 

 

ー冬の雪ー

 

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